2015年05月20日

鴨川をはさんで、、

 昨日、京都大学医学部に出張講義に行った。先月末には、鴨川を隔てた対岸にある京都府立医大で講義した。来月は大阪市立大と京都府立大での講義が予定されている。今年度の出張講義やセミナーがぼちぼち始まりだしたというわけだ。

 私の講義ネタは依頼元の要請によって変わる。基本的には「細菌毒素学」だが、細菌学の基礎概論を依頼されるときもあるし、さらには細菌学を理解するための基礎生物学の話を交えることを求められることもある。獣医系の大学だと、動物の感染症の話もする。セミナーでも、外国人留学生相手の場合、大学院生のカリキュラムの一端として開催される場合、プロフェッショナルな研究者相手に話す場合などでもちろん内容が異なる。研究者相手でも、細菌学者が主な聴者なのか、それ以外の分野の研究者が多いのかによっても異なる。つまり何が言いたいのかというと、同じスライドを用意してホイホイとどこに行っても同じ話をするわけではない、ということだ。そのたびに数枚の新しいスライドを用意し、順序を変えて構成を練る。これでも割と時間をかけているつもりだ。

 今回の京大医学部の講義はずばり「細菌毒素学」だ。私を呼んでくれたイチロー先生は無論立派な細菌学者でらっしゃるので、余計な講釈は反ってイチロー先生の普段の講義の邪魔になる。そこで清く、細菌毒素の定義、分類、病気のとの関わり、毒素遺伝子の起源なんかの話をした。先月の京都府立医大は100名程度の学生で埋まった大講義室での講義だったが、この日の京都大学の講義棟は、解剖棟を改修してできたとかいうことで、スクリーンと演壇をぐるりと囲んで扇状に階段席が並んでいる。

IMG_2326 (1).jpg だから、スクリーンの左側に立って話すと、向かって左側最前列の学生さんからスライドが見にくくなり、右側に立っても同じ側の最前列の学生さんからはスライドが見にくくなる。それが気になったので、3時間の講義の間、ずっと左に行ったり右に行ったり歩き続けながら講義した。学生さんから見たら、「なんちゅう落ち着きのない先生や?」と思われたかもしれん。

 京都府立医大の講義では厳しく出欠を取られているためか、学生の出席率が高かかった。はじめから100人程度の学生がいるのはそのためだ。一方、京都大学の講義では、開始時間当初は30人程度しか学生がいなかった。講義の後半に入っても、60人程度までではなかっただろうか? しかし出席している学生さんはみんな熱心である。京都府立医大(あぁややこしい)でも、熱心な学生さんの数は京都大と変わらないかもしれないが、なにせ総数が多いぶん講師と学生のあいだに距離を感じたのに対して、京都大学では学生がかなり近くに感じた(色んな意味で)。ただしたぶん、出席率は良くない。このあたりは大学によっての考え方の違いだろう。

 学生が多人数だと、こちらが質問したときに「わかりません」と一言答えて流そうとしたり、質問されることに嫌悪の表情を表す奴もいるが、少人数ではそういうことは滅多にない。これはやっぱり講師と学生との間の距離感の違いかもしれない。そして、「わかりません」と答えても「考えてみろ」と返すと、必ずそれほど的外れではない答えが出てくる。医学部に合格する素養があれば、やはりそれくらいのことはできるのだろう。なのに、講義中に全くモノを考えないのはもったいない。

 間に15分の休憩をはさんで3時間、そんな調子で講義した(京都府立医大の時も同じ時間構成だった。ただし、講義内容はちょっと違う)。3時間の講義というのは結構疲れるものだ。しかもこの日は、上に書いたような理由で無用に歩き回った感があって、いっそう足が疲れていた。和書・洋書を問わず、たくさんの学術本やプロトコール集や、小説・雑誌などで囲まれた実に教授室らしいイチロー先生の教授室で美味しいコーヒーをいただき、午後のスケジュールの都合で乗ってきたクルマで帰阪したが、クルマの中でアクセルペダルやブレーキペダルを踏む度に、なんども脚が攣りそうになった。

 講義がエクササイズになるなんて、情けない。


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posted by Yas at 18:54| Comment(0) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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