2011年11月21日

学生さんはどう思ってるだろか?

 先週の土曜日は、細菌学会関西支部総会に出席した。会場は、私が学部生・大学院生時代を過ごした大阪府立大学中百舌鳥キャンパスである。私はこのキャンパスが大好きだが、私の学生時代からさらに整備されて素晴らしく洗練されていて驚いた。
 この支部総会の世話人は、私の戦友である眞実ちゃん(三宅眞実教授)だ。彼にはご苦労様を言いたいが、それとは別に、今回の学会で私が感じたことを少々書きたい。

 今回は、学生発表に賞を与えるということで、私はその審査員を仰せつかっていた。それで朝9時から始まるセッションに間に合わせて会場に到着し、最初の演題から真面目に聴いた。そして聴きながら考えた。

 私は、学生さんをエンカレッジしたいという考えには賛成だ。そのために賞を贈るというのも、大賛成ではないが強く反対もしない。しかし今回は、学生の演題が全演題28題中の18題に及んだ。この企画のおかげで学生発表を増やすことができたと云うが、そのほとんどが中途半端な仕事だ。なかには始めたばかりと思われる予備実験程度の演題もあった。つまり、はっきり云って普通のサイエンスの基準からみれば、ほとんどの演題は審査の対象にもならないレベルである(はっきり云ってホントごめん)。今回は、賞を与えるという企画のために学生の演題が増えたというが、中途半端な仕事で発表した学生さんが「これがサイエンスだ」と勘違いするようなことでもあれば、それは、エンカレッジどころか逆に学生さんをスポイルしていることにはならないか? 「学生の発表レベルで審査する」というつもりで点数をつけることももちろんできるし、今回は実際にそうした。しかし、そんな意味のない甘いレベルで点数をつけてもらって優劣がついたとして、やはりそれは学生さんをスポイルすることにつながらないだろうか? そんなことばかりが気になった。

 それと、こうした企画が主流になり続けると学会のレベルは明らかに下がる。今回も、ある程度まとまった仕事の発表は全演題のほぼ3分の1程度でしかなかった(学生さんの演題は全部で18題で午後の4時まで続き、その後の2時間だけが、いわゆる一般講演に与えられた時間だった。しかも講演時間は9分、、)。これでレベルが下がらないはずはない。しかし学会場にいる多くの先生方は、「学生をエンカレッジする」ことに熱心でそのことに気づかれているのかどうか、、。これが続くと、ひとつの学会総会にとどまらぬ研究コミュニティー全体のレベルの低下に繋がるのではないかと私は心配する。

 学会の活動目的には、若手育成のほかに情報交換、研究者ネットワークの構築、共同研究や研究費獲得シードの創成がある。それぞれの機能のバランスが取れてこその学会活動だ。あくまで「学生をエンカレッジする」というのなら、その目的に特化した会を作ってはいかがだろう? もう少し云えば、今回のようなレベルでの「学生のエンカレッジ」なら、それぞれの大学の勉強会や発表会でやっていただきたい、というのが私の意見だ。

 一方で、細菌学会でも若い人が切磋琢磨するための若手の会(沖縄感染症フォーラムとか若手コロッセウムとか)が存在する。こちらは若手同士でシビアな議論をするのが目的で、その参加者達(無論、学生さんもいる)はおそらく良質の本当のサイエンスを求めている。彼らの真摯な姿勢と、「学生をエンカレッジする」という今回の学会の甘やかしにも見える姿勢が、どうも私のなかでは噛み合わない。

 このことは、このブログで書きっぱなしにするのではなくて、今後ぜひとも関係の先生方と議論してみたい。それにしても、、こんなことを書いたらまた「ホリグチはやたらキビシい」と思われるやろな、、。わたしとしては、きわめて普通のことを書いているのだけど、、。

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posted by Yas at 23:08| Comment(0) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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