2011年09月28日

言葉を尽くす

 少し前のことだが、内田樹先生の「街場の大学論」を読んだ。

 内田樹先生は、神戸女学院大学の教授だったが、昨年度に定年退職された。ご高名はかねがね承っていたし、先生のブログもたびたび訪問していたのだが、私にとってはこれが初めてのウチダ本だった。内田先生のブログは、ブログには勿体ないくらい格調のある文章で様々な事柄を奥深い洞察で評論されているので、私にとっては実は読みにくかった。「この文章は、本で読むべきやろ」と本気で思った。

 それで先の「街場の大学論」を初めて読んだというわけだ。内容は期待通り、あっという間に読めた。勉強になった。とくに、これからの大学はダウンサイジングを目指すべきであるとか、研究者に必要な資質は「非人情」であるとかのご意見には、わが意を得たりの思いを持った。実は私は、内田先生のご意見とほぼ同じことをこのブログで書いている。高名なオピニオンリーダーと意見を同じくするとは、誠に光栄なことである

 ただ、しかし残念ながら、その意見を陳述する文章に格段の差のあるのを実感した。例えば、研究者に必要な資質について、私はこんな風に書いた。「今の日本の研究の世界は「それでも研究をやりたい」という人間しか残ってはいけないところである。脳天気に「好きだから」と、先行きのことなど考えずに一生懸命に実験する「実験バカ・研究バカ・科学バカ」のような人しか残ってはいけない」と、非常に雑駁な表現である。
 一方、内田先生は(以下引用します)「研究者に必要な資質とは何か、ということをときどき進学志望の学生さんに訊ねられる。お答えしよう。それは『非人情』である。それについてちょっとお話ししたい。大学院に在籍していたり、オーバードクターであったり、任期制の助手であったり非常勤の掛け持ちで暮らしていたりする『不安定な』身分の若い研究者達にとっていちばん必要な知的資質はその『不安定さ』を『まるで気にしないで笑って暮らせる』能力である。」という文章で始まり、その後にこの論を6ページに渡って語っておられる。

 言葉を尽くして説明する、ということにおいて、内田先生に比べて(比べたらいかんやろ、と言われそうだが)私は幼稚すぎる。本書を通読する間、ずっとそのことを思い知らされた。内田先生、、勉強になりました。言葉を尽くすとは、こういうことだ。

 とりあえず。日頃の「あーやって、こーやって、そこをググッとやったら、キュゥってできるやろ?」みたいな話し方を改めよっと、、。

:無論、本書を通じて様々な方法で表現されている、あらゆる事どもに対しての内田先生の思想は私の及ぶところではない。

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posted by Yas at 23:18| Comment(2) | 私的先生 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
内田さんの書くスピードというのは、超人の域に達してますね。武術の先生で書いてることもいかついけど、ご本人は拍子抜けするほどやさしいです。雰囲気はおばさん…鷲田先生とはすごく仲がおよろしくて、対談なんかさせると漫才よりもはるかにおもろい。
Posted by なかのとおる at 2011年10月02日 08:10
 色んな分野に「巨人」はいますよね。ほんま、勉強なります。

Posted by Yas at 2011年10月02日 21:55
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