2011年01月31日

ホリプレ論文篇9「論文を書けない人/机の前に座ろう」

 この仕事を長くしていると、大学や研究所の研究員や教員など、およそ科学者の看板を掲げて生活をしている人の中に、実は論文を書けない人がたくさんいることに気づく。私の実感では半数以上の「研究者」が論文を書けない。

 ここでいう論文を書けない人とは、研究をしないので実験データがなくて論文を書けない、という人のことではない。実験はできる。論文も読める。データもまとめることができる。でも論文を書くことはできない。そんな人たちのことだ。なぜ実験を組み立ててデータをまとめることができるのに、論文が書けないのか? そんなことを考えてみた。

 文章を書くのが苦手なので論文が書けない、という人はいるかもしれない。しかし、作文能力などというのは経験を積めば養われる。とくに科学論文の文章は単純(であるべき)なので、それほど高い作文能力が要求されるわけではない。私は、そうではなくて、論文を書くための時間をしっかりと作らないことに原因があるのではないかと思う。

 劇画の原作者で優れた作品をいくつも生み出した小池一夫さんは、自身が設立した「劇画村塾」という作家養成塾で、「原作を書くのに最も大切なことは、机の前に座ることですよ」と盛んに塾生にアドバイスをしていたという。このことを、塾の1期生だった高橋留美子さんが何かの記事で回想していた。最初は「なに云ってんだろ、このひと?」と思ったそうだが、実際に仕事を始めると「机の前に座る」ことがとてもたいへんなことだということがわかったらしい。その後、高橋留美子さんが「うる星奴ら」「めぞん一刻」「犬夜叉」などの名作を世に出したのは皆様ご存知の通りである。

 論文の結論を強化する実験をやっておきたい。細胞を飼ってるので継代をしないとだめだ。次の実験のためのサンプルを今のうちにとっとかないと、、。などと、机の前に座らない言い訳はいくらでも並べ立てることができる。しかし、机の前に座らないと絶対に論文は書けない。もしあなたが論文を書くのは苦手だと感じているのなら、なおさら無理してでも机に向かって、じっくり時間を使って論文を書いてみるべきだ。たとえ拙い文章でも書かないと論文はできない。論文ができないと経験を積むことができない。経験を積まないと文章は上手くならず、論文を書くことの敷居は高いままだ。

 研究者は論文業績で評価されるのだから、机の前に座って論文を書くことはベンチで実験をするよりも研究者にとっては大事なことだ。このことをよく心に留めて、じっくり机の前に座って、さぁ論文を書こう。

、、人気ブログランキング参加中です、、
人気ブログランキングへ
応援のクリックをよろしく


この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]