2007年08月23日

ワタシ、コシ、クゥ〜ダケマシタ


 サイエンスのお仕事の話。

 AとBという二種の現象がある。現象Aが起こると色んな条件下で連鎖的に現象Bが起こる、ということが論文になってすでに報告されている、とする。
 そこで、別の研究グループの別の論文のなか、ある条件Cで現象Aが起こることが証明された。その論文の中で著者達は、「この条件Cでは現象Aが起こっているので現象Bも起こっている」と平気で書いている。、、、私は、これが許せない。、、条件Cで現象Aが起こると連鎖的に現象Bが起こるという保証は何もない。そのことを先に証明しろよ。

 あるリガンドの受容体Dが同定された。その論文の著者達は「同定した」というが、実はチョット怪しい。受容体というからにはリガンドの結合によって受容体を発現している細胞に何らかの機能変化が起こらねばならないが、その証明が弱い。そのあとに発表された別の著者の別の論文。そのリガンドの受容体がDであることを前提に実験を重ねて、なんだかよくわからない結論めいた考察が書かれている。この論文のどこかで、Dが受容体であることを確認する実験が必要だと思うがそれがない。おまけにこの論文では、私たちの論文が間違って解釈されて引用されている。他人の論文はしっかり読め!

 安直な実験で安直な結論を書いた論文はけっこう多い。今日はそんな論文を二編も連続で読んでしまった。んで、腰が砕けて目はうつろ、耳鳴りがして歯がうずいた挙げ句、「なめとんのか! こんなもんが何で論文になるんや! レビューアは何をしとんのや! 世の中間違うとる!」と怒り心頭に発する。特に最近、中堅どころの雑誌に載る論文にひどいのが多いように感じる。

 以前のエントリ「Impact factor バブル?」 で書いたけれど、増え続ける雑誌の発刊を支えるために論文が乱発されている影響で、論文の質、論文の中身の研究の質が低下しているとしたらホントに残念である。そうして論文の信頼性がどんどん低下して、科学のコミュニティーが空疎化する、、、、研究者が自分で自分の首を絞めるような結果にならなければよいけれど。中身も実態もない好景気に浮かれたバブル経済と同じ結末にならないように、ちゃんと仕事をしてちゃんとした論文を書きたい。これって、大したことではないはずだ。

posted by Yas at 22:28| Comment(0) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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