2007年06月30日

ETOX 余話


 本日(6月30日)、日本時間午前9時20分頃に関西国際空港に帰ってきた。一般によく言われるが、地球を東から西に飛ぶ場合よりも西から東に飛ぶ場合の方が時差ボケはひどい。だからヨーロッパから日本に帰ってきた直後の私はヘロヘロだった。帰宅して久しぶりにコテコテ和風(ざるそばですけど)の昼食をとったあと、小一時間ほど居眠りしてちょっと回復した。まだ眠いが、このあととりあえず通常の就寝時間まで頑張って起きておき、一挙に時差ボケ解消を目論む。

 ETOXに限らずこのサイズの国際会議はだいたい忙しい。んで会期中での小さなエピソードなどを報告するヒマがなかったので忘れないあいだにいろいろと書いてみることにする。

 初日、シャトルバスの迎えを待つ集合場所で、3年ぶりにINSERMの Emmanuel Lemichez と出会う。「久しぶり、もう結婚したか?」といきなり不躾なことを尋ねる。「してない。オレは自由だ」とのたまう。結構結構。そういえばアンタに貰ったポプリのマット、まだ香りが消えてないよと言おうとして、ポプリって英語でなんて云うんや?、と考えて一瞬口ごもってしまって上手く英語にならない。まだ充分に英語アタマになってないな、、もっとも、英語アタマになったとしてもそもそもたいした英語力でもないが、、。国際会議の初日はだいたいこんなもんだ。

 そのEmmanuel、何日目かに近づいてきて、「Klaus Aktories がお前と Discussion したいと言ってたけど、気をつけた方がいいぜ」と伝えてくれる。このDr. Aktories はドイツの毒素研究の重鎮である。DNTの作用機構の時に競合し、今またパスツレラ毒素の作用の解析で競合している。DNT(彼らはよく似た毒素のCNFをやっていたが)の作用の時はスッキリしない格好 で彼らに先鞭をつけられてしまった。この会期中、こちらはあくまで知らんぷりんをしていると、会場で私の隣の席にやってきて、「So,,, What is the mechanism of Pasteurella toxin?」と聞いてくる。「I don't know, That is what I want to know」と私。すると「I know you know」と返してくる。知るか!、、勝手にせい。振り返ると後ろで Emmanuel がウインクしている。
 Aktories は続ける(以下、正確に覚えていないので日本語)。「けど、パスツレラ毒素の構造の仕事は見事だった。私は君に負けた。君は勝った。それに作用解析でも私らよりも先を走っている。けど、Joachim の発表を聞けばわかると思うが、われわれも君のすぐ後ろにいるぞ」、、、Aktories はいつもこんなことを言う。

PICT0060.JPG Joachim は Aktories のところのポスドクである。なかなか誠実そうないい男だ。彼とETOXで会うのは3度目になる。

Joachim と。

 んで、こっちからそのJoachim に「So,,, What is the mechanism of Pasteurella toxin?」と訊いてやる。Joachim は困ってしまう。続けて私、「I know you know」、、、 ふん!仕返しじゃ。


 ETOXではポスター発表参加者の中から、質の高いものを採択して口頭発表させるシステムがある。ETOX9からこれまで私の研究グループでは2度採択されたことがあるが、今回はカミちゃん、アヤっちのどちらの演題も採択されなかった。藤永さんの演題も不採択。岩城さんの演題は見事採択。内容からいって当然である。けど、岩城さん以外のどの日本人のポスター演題も、他の採択演題と比較して遜色ないばかりか充分に内容的に凌駕していると思うのだが、、。
PICT0051.JPGPICT0053.JPG


 カミちゃんとアヤっち、ポスター前にて。


 「ETOXはEuropean Workshop on Bacterial Protein Toxins だから採択されないのも仕方ない。われわれは Japanese やし、、」とわけのわからん八つ当たりで Eric Oswald に愚痴る。彼は親日家である。そのことを藤永さんに伝えようとして、「Eric is a Japan addict (日本かぶれ、日本中毒)」と言ってしまった。ちょっとあんまりよくない表現かも、、。あとで調べるとちゃんと Japanophile (親日家)という言葉があるらしい。まぁいいか、発音が難しそうやし、、。

PICT0057.JPG 親日家の Eric 。

 ETOXでこれまで何度も見かけていたのだが、話したことのなかった人(カナダ人だった)と休憩時間中に同じテーブルになった。家族で一緒に来ている。息子さんは味噌汁が好きだそうな、、。味噌汁好きの外人というのは初めて聞いたぞ。私たちが、ポケモンやウルトラマンを生んだ日本から来たと知って、息子さんが尋ねる。

「ねぇねぇ、バナナって日本語でなんていうの?」、、、、、「バナナ」
「ラズベリーは?」、、、、、、、、「ラズベリー」

 んんっ〜、話が弾まん。でも本当なんだから仕方ない。日本にはカタカナという便利な字があって、よそサマの言葉でもなんでも、日本オリジナルに作り変えてしまうのよ。君の好きな日本のキャラクターも「ポケットモンスター」やし「ウルトラマン」やろ?

 最終日、Closing Remarks 。
ETOXの Closing Remarks は単なる挨拶ではない。アカデミックプログラムで展開された話題をまとめてレビューすることになっている。今回は Joe Barbieri (Medical College of Wisconsin) が担当した。彼はその Remarks の中でパスツレラ毒素の話題に触れたときに、口頭発表にもなっていない私たちの仕事をあえて紹介してくれた。「これは重要な仕事である」とも。、、、ちょっと溜飲が下がった、というか、嬉しかった。

 Farewell Party で別れ間際、Aktories が「お前の仕事、口頭発表で取り上げなくてすまん」と言う。おいおい、あんたはこの会のcommitee memberでも何でもないやろ。
 隣にいた Karla という女性研究者も言う。「あのパスツレラ毒素の構造の仕事、あなたのなの? ウチのポスドクが褒めてたわよ」、、ありがとうございます、、って、おい。オレはお前よりずっと研究のキャリア長いんやけど、、。
 なんか納得のいかないものを残しつつ、それでも Joe の言葉に気をよくしながら、ETOXは終わった。

PICT0062.JPG

帰りの飛行機にて、、。






posted by Yas at 19:27| Comment(0) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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