2006年10月25日

病気のバイオサイエンス

 私の所属する微生物病研究所では教授・助教授層の教員が交代で担当する「病気のバイオサイエンス」という講義枠を持っている。主に一年次の医理工系の学生さんが履修しているようだ。受講者名簿を見ると、確かに医学部の学生さんが多い。今日は私が当番だった。これが結構面白かった。総勢50名くらいの学生さんがみなさん割合まじめに聴いてくれたのだ。私の講義は基本的に対話形式である。

「細菌が原因になる病気の名前で知ってるのをゆーてみ」。前の席の学生から尋ねていく。「エイズですか?」「エイズはウィルスやな〜。次の人どう?」「わかりません」「ん〜、考えといてな。じゃぁ次の人」「風邪、なんかはどうですか?」「風邪は、むずかしいなぁ〜、風邪という症状はひとつの原因で説明でけへんしなぁ〜」「じゃぁ、インフルエンザ!」「インフルエンザもウイルスやなぁ、インフルエンザ菌て言うのはあるけどな、これはインフルエンザの原因とちゃうんや」「次の人、どう?」「マラリア!」「マラリアは原虫やがな、ん?先々週は堀井先生の講義やったんとちゃうんか? マラリアの講義あったやろ?」「忘れました」「教育っちゅうのは無力なもんやの、まぁええわ(全然良くないが)」てな感じで講義が進む。学生さんの講義に対する姿勢というのは伝染するのだろうか、教室の雰囲気はその年によって全然違う。今年の学生さんは質問するとみんながみんな一生懸命考えてくれるし、それなりに熱をこめて答えてくれる人も沢山いた。こうなると講義する方も嬉しい。リステリアが細胞の中で動き回るムービーなんかは、食い入るように見てくれた。いいよいいよ〜。毎年こんな学生さんばかりなら講義も面白いんだが、残念ながらそうでもない。学生のあまりの無反応に、教壇上で「ちっ」と舌打ちしてしまった学年もある。今年の講義は盛り上がった、と思った。んで、最後に研究室の様子を映像で紹介して、「興味があったら遊びにきてねぇ〜、それじゃぁ、ぼちぼち終わりましょか〜」といって終わりを宣言すると、学生さん達はあっという間に教室からいなくなり、あっという間にひとり取り残されてしまった。誰もいない教室で、「あの盛り上がりは私の気のせい?」とか自問自答しながら後片付けをして講義場所の豊中キャンパスから吹田キャンパスの研究室に帰る。

 最後に肩すかしを食らったような気もしないでもないが、君たちは結構良かったよ〜。研究室に帰ると、どっと疲れが出て、ふくらはぎあたりに張りも感じて(私は講義中にダイナミックに動き回るタチだ)、研究室のセミナーが始まるまで30分ほど眠ってしまった。でも良い疲れだったように思う。充実充実。
posted by Yas at 22:43| Comment(0) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]