2008年07月06日

本当のことはわからない

 原油価格が高騰している。これがいろんな商品の価格に波及していて、ご心配の方も多いと思う。一般に、今回の原油価格の高騰の原因は「需給バランス」にはなく、「投機筋の資金が多量に流入したため」と云われている。

 このことについて毎日新聞の論説に興味深い話が載っていた。以下要約である。

 鉄鉱石は相対取引で投機の対象にはならない。ところがその価格は原油と同様上昇の一途をたどっている。このことを考えると、原油高騰の犯人は投機とは云えない。中国などの需要急増に供給が追いつかないと考えるのが自然である。政治家が投機説に固執するのは自らの無策の責任から逃れるためである。供給面に関しては、つい最近、サウジアラビアが50%の増産を約束したが、本当にできるのか?「できる」と主張するサウジだが、この国では最近は大きな油田は見つかっていない。代わりに既存の油田の油井の数、つまり蛇口の数を増やしている。しかし原油は増産されていない。以前、サウジの国営会社が同じように油井の増加をはかったが、油田が損傷を受けてその修復に8年を要したという。つまり、増産は容易にはならない。

 というのである。

 ここには二つわからないことがある。原油高騰が投機によるものなのかどうか? サウジの原油増産は可能なのかどうか?
その真実は、われわれ一般人には容易に知ることができない。

 このブログ(Past version)でも何度か取り上げた(例えばここ)が、二酸化炭素排出による地球温暖化論も本当のところはわからない。かたや、「環境問題はなぜウソがまかり通るのか?」という、一般に流布されている環境問題のウソを暴くことを唱った本がベストセラーになっている。
 
 一昔前、「環境ホルモン」のビスフェノールAは、生殖機能に影響を及ぼすとされてマスコミからこぞって目のカタキにされたが、今やそれも否定的な報告が多い。

 バイオエタノールのような明らかな欺瞞をのぞけば、本当のことを本当であると理解するためには相応の手続きが必要である。そして多くの事どもについて専門家ではないわれわれには、全てにそんな手続きを経ることはできない。つまり、多くの本当のことはわれわれにはわからないのである。本当のことである、とわかったつもりの多くのことは、実はただ「信じている」というだけだ。本当のことはわからない。

 このことの重みを、実験科学の研究者は思い知らねばならない、と思う。

 

posted by Yas at 22:41| Comment(1) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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