2008年06月10日

80:20の法則!?

 この3月に修了した医科学専攻修士課程の大学院生は25名ほど。そのうち、博士課程に進学したのはたった6名だった、ということを菊谷所長から聞いた。

 この医科学修士課程は確か20年少し前に開設された。「医学部出身者以外にも医学研究科への道を開き、医科学研究者を育成する」ことを目途に開かれた、と聞いている。実際私も何人かの医化学修士課程出身者を知っているが、それぞれ優秀な科学者で素晴らしい成果を挙げられている。しかし、そんな大学側の思惑は20年ほどのあいだに崩壊してきたようだ。大学院重点化で大学院への敷居が低くなった(ほんとはどうか知らんが)影響なのか、学生たちは研究よりも何よりも「就職」を目指して本学の大学院にやってきているのが現実だ。

 優秀な大学院生の確保というのは、今やどこの研究室にとってもたいへんな問題になっている。
なぜ優秀な大学院生が欲しいのか? それは「高いレベルの教育を施したい」からだ、というよりはむしろ「役に立つ労働力が欲しい」というのが以前の(今も、かも)研究室側の本音だった。だが現状では入学した学生のうち8割が一年次で早々に就職活動を始め、二年次には「就職が決まりましたから」と就職を人質にするかのようにして修了していく。いや、そうでない人もいると思いますよ。思いますけどね、平均的な大学院教授がこんな風に思うのにはやっぱり理由があるのだ。

 英文和訳中心の現在の大学院の入学試験は、高度な学問を修めるための学生たちの適性を測る役には立っていない。だから、実験科学の世界で成果のあがる実験ができるのかどうかは研究室に配属されるまでほぼわからないが、「労働力」を欲する研究室は学生がやってくるのを手ぐすねを引いて待っている。一方、学生さんの立場から見ると、2年間の大学院課程の入学試験に合格し所定の単位を取って修了すれば博士課程に進学しようが就職しようがそんなものは勝手である。その結果、「腰を据えて実験する大学院生がいない」と嘆く大学教員とのあいだで場合によっては悲劇を生むことになる。

 大学院(研究室)側は「労働力」、学生は「就職への道筋」を大学院修士課程に求めるこうした状況には、先に書いた「高いレベルの教育を施したい」あるいは「高いレベルの教育を受けたい」という双方に本来必要な視点が欠けている(あるいは希薄な)ように思う。そこで、修士課程においては、教育の実際を個々の研究室に任せてしまうようなシステムを改め、そして修士論文実験とかいうのもバッサリあきらめて、。いっその事ガッチリした課程全体のカリキュラムのもとで講義を組んで、学生さんたちにシッカリこれを修めてもらうようにしてはどうか。その方が、修士課程全体の8割が就職するような現実にあっていると思うのだが、いかがだろう?

 というような事をエラそうに考えた。そんな事すると教員はしんどいけどねぇ。

(いつも思うが、こういうマジメな話題はブログにはやっぱり向かん。今後なるべく自粛する事にする)
posted by Yas at 17:55| Comment(0) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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