2020年09月16日

お客さま

先日、マイナンバーカードを受け取りに居住地の市役所に行った。

 私はいったいに役所というところを好まない。無愛想、上から目線、紋切り型、木で鼻を括る対応などがイヤだ(誰でもイヤだと思うけど)。役所に出向くようになった学生時代からの経験で、そのように思い込んでしまっているのだと思う。しかし、実に久しぶりに訪れたこの市役所は違っていた。フロアには、受付窓口のわからない来庁者を案内するために、そこかしこに職員が立っている(銀行や空港ロビーみたい)。車椅子の方に丁寧に対応する職員さんの姿も見えた。なにより、同伴した知育障害のある私の娘にかけられる気遣いの言葉には、「へぇ、この頃のお役所はこんなことも言うんや」と少し驚いた。さらにしばらくして、職員はみんな来庁者のことを「お客さま」と呼んでいることに気がついた。

 そんなこんなでこの日の手続きは思ったよりも気持ちよくスムーズに済み、満足して市役所から帰ってきたのだけれど、一方で来庁者を「お客さま」と呼ぶ様子にはむず痒い違和感が残った。あんまり気持ち悪かったので、このことをちょっとネットで調べてみることにした。この頃はこういう事ができるから便利である。

 それでわかったこと。来庁者を「お客さま」と呼ぶ習慣は私が行った市役所だけではなく、全国津々浦々のお役所に広まっていて、それは2008年頃から徐々に拡がっていったらしい。一方で、この話題をネット記事に挙げている人はことごとく違和感を感じているようだ。
 そりゃそうよなぁ、間接的に税金を払っているとはいえ、その場でお金を払って何かを買っているわけでもないのに「お客さま」と呼ばれてもなぁ、、。ネットで調べているうちに、千葉市職員のための接遇マニュアルなるものにまで行き当たった。このマニュアルの序章は「私たち職員は、日頃『接遇』についてどのように考えているでしょうか。市役所にと って、市民、団体、企業等の方々は、『お客様』です」と言い切る。そのあと20ページ以上にわたって身だしなみだの言葉遣いだの、まるで昔懐かしい校則の書かれた中学校の生徒手帳のような注意事項が並んでいる。

 いやぁ、時代も変わったわ。と、感心はしても「お客さま」と呼ばれることに対する違和感は拭えない、、、。この習慣が始まったと推定される2008年頃、きっと誰かが「来庁者を『お客さま』と呼びましょう」と提案したに違いないが、その時に「それは変やろ」と異議を唱える冷静な士はいなかったのか? とか、「お客さま」と呼ばれた来庁者が「なんだとぉ?」と怒りだしたりしなかったのか? とか、、、様々な疑問が募る。

 そこでさらにネットをたどってみてやっと腑に落ちた。この慣習はいわゆる「モンスタークレイマー」への対応から生まれたらしいのだ。日々の業務だけでも忙しいのに、理不尽なことで文句をつけてくる来庁者に悩まされて困っていた彼らが、誰であれ何であれ来庁者にはとにかく丁寧に応対しようという結論に至ったとするなら肯ける。第三者からみると「羮に懲りて膾を吹く」の類にも見えるが、職員にとっては毎日のことなのだ、、わかるわかる。

 ということで、わかった。了解した。今後はお役所で「お客さま」と呼ばれても素直に受け止めることにする。いやいや、いままでもしかすると私も来庁者として、職員さんを不快にするような言動を知らず知らずのうちにしていたかもしれん、。そのお詫びも含めて、これからは心を込めて市役所を訪れることにする。

 こういう過剰にみえる気遣いが広まるのは仕方ないか、と思って少し考えた、、。村役場、区役所、市役所から、県庁・府庁とあらゆる官公庁でこの習慣が広まったとする、、、、。でもしかし、これが広まって警察署などで「お客さま」と呼ばれたりしたら、気持ち悪いしやっぱりイヤだ、。それは是非ご辞退したい。

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posted by Yas at 18:04| Comment(0) | 非科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする