2010年12月03日

才能

 阪大キャンパスで開催されている日本結晶学会に出席していたキタドコロさんが研究室に立ち寄ってくれた。昨日、一応書き上がった論文のことでディスカッションをするためである。キタドコロさん、忙しいのにありがとう。

 タンパク質の立体構造は PyMol というソフトでコンピュータ上で観察する。サンプルの毒素分子でできた複合体をマウスでグリグリ動かしながら観察するのだが、それぞれの分子の相対位置を把握するためには想像力が必要になる。キタドコロさんがそれぞれの分子の相互作用する箇所を示しながら説明してくれるのだが、私にセンスがないのか、イマイチ位置関係が掴めない。でもとにかく、論文のポイントを相談しながら、使用する図を決め、図の中でも強調する部分を確認する。

 今回、立体構造を決定できた毒素は、実は7年前から取りかかっていたものである。7年前の当時は、何をやっても解像度の高い結晶をとることができなかった。それが、キタドコロさんの研究室の修士学生のニシムラくんとマエタくんが他の毒素のサンプルも交えて競うように結晶化条件を検討してくれたおかげで、高解像度をたたき出す結晶を何種類も作製することができたのだ。それには、おびただしい数のサンプルを様々な条件で結晶化検討したのに違いない。その労力はたいへんなものだったと思う。

 かかる労力を厭わずにそれだけの作業をこなすことができるというのは、ひとつの才能である。そういう意味で、ニシムラくんやマエタくんはたいへんな才能があると思うのだが、残念ながら大学院修了後は博士課程に進むことなく就職するという。実にもったいないことである。

 世の中不景気とか、博士修了者の採用に関して企業の理解が乏しいために就職が難しいとか、事情は色々あるようだ。けれど、こうしているうちにも若い才能が大学院で活躍する機会が確実に失われている。ホントに残念だ。

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posted by Yas at 23:51| Comment(0) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする