山口県光市の母子殺害事件被害者の夫、本村洋さんという人はどういう人だろう?
事件以前は、きっとこの人はどこにもいるような普通の人だったはず。それが、事件を境に置かれる立場は激変する。被害者の遺族というだけでなく、少年犯罪や死刑のあり方という社会的な問題に自分の考えを表明し発信する事になった。その意見の論理構成や意思は明快にして強固。この方面には素人の私の目には、あたかも練達の犯罪学者やオピニオンリーダーのように見えた。かなり強い覚悟や意志があった事と思う。事件発生当時、この人は23歳だった。
本村さんを見ていて、もう一人、思い出す人がいる。
カンボジアでボランティア活動中に射殺された中田厚仁さんの父親、中田武仁さんである。この人は、息子が射殺された、という報道でインタビューされて微笑んでいたように見えた、というので世間の批判にさらされた。だがその後、息子の意志を継ぐべく、勤めを辞めてボランティア支援活動に従事するようになる。その活動が実を結んだのだろう、国連から唯一無二の「国連ボランティア大使」に任命され、多方面から評価される立場になる。
そのきっかけがどれほど大きい事であれ、自分の日常を180度転換させて意志を貫くような事がそんなに簡単にできるものか? と自問する。
遠くから見るだけなのだが頭が下がる。そんな人は確かにいる。