2007年07月23日

熱血「巨人の星」


 昨日、散髪屋さんでの待ち時間に久々に「少年マガジン」を10冊ほど読み漁った。読んだのは「新約巨人の星・花形」である。ほぼ一年前に連載が始まって、その時にはこのブログでも取り上げた。

 私が読んだエピソードでは、星一徹、星飛雄馬、星明子が登場していた。星一徹は不気味なオッサンのように描かれ、飛雄馬はキャラのよくわからん若者だ。星明子はボインボインの女子高生。んで、飛雄馬の投げる球にかすることも出来ず崩れ落ちる花形の姿があった。あ、伴宙太も登場していた。不気味な伴宙太。しかしストーリーはそれなりで、作者の村上よしゆきさんは頑張って書かれているのだろう。ところどころには、原作「巨人の星」の懐かしいセリフそのものを使っている箇所もたくさんあった。
 ただ、「巨人の星」を数え切れないほど読み返し、多くのセリフを暗唱できてそのセリフの場面をアタマに思い浮かべることの出来る身としては、「新約巨人の星」でのセリフの使い方は前作のパロディにしか思えない。あえていわせてもらえれば、村上よしゆきさんは前作の読みが足りないのではないか、と感じた。「新約巨人の星」が「巨人の星」へのオマージュならば、原作者の梶原一騎さんの伝えたかったメッセージは少なくとも受け継ぐべきではないのか?と率直に思った。ほんのうわべでセリフ回しだけをなぞられてもねぇ。

 ふっくらボインボインの女子高生の星明子が、家で制服を着替えながらブラジャー姿で「女には立ち入れない、男の世界ってあるのね」みたいなことを言っても、、ねぇ。
 青雲高校野球部キャプテンの天野くん(前作では「天野」は教員で野球部長だった)が、練習を怠っていないことを示す花形のマメだらけの手を見て、「ボクはいま猛烈に感動している」と爽やかに感動しても、、ねぇ。

 あの「巨人の星」の舞台設定で、村上よしゆきさんの創作をいくら入れて貰ってもかまわないから、その代わりキャラクターの名前を変えてくれないかな、とやっぱ率直に思った。あのストーリーだと、名前が同じである必要がないがな。
 入れ替わりの激しい今のコミックス業界で1年以上連載して、しかも単行本も4巻以上出版されていて、、、ということから見ても、本作は若い読者層のあいだで人気を博しているのだろう。「新約巨人の星」の名前は別に要らんがな。前作との関係の中で本作を作り上げるつもりならば、頼むから前作のメッセージもどこかで引き継いでよ、、。前作の大ファンのオッサンはそう思う。

 巨人の星は、その熱血ぶりがむやみにテレビでパロディ化され続けてきたために、多くの誤解を生んでいる。この際だから、言わせて貰っとく。例えば!
 ○星一徹といえば、卓袱台をひっくり返す場面が有名だが、原作では、彼が卓袱台をひっくり返したのは一度だけである。それも「ひっくり返した」のではなく、飛雄馬を殴ったときに「ひっくり返った」のだ。
 ○有名な「オレはいま猛烈に感動している」という飛雄馬のセリフの場面。パロディでは決まってみんなが大泣きするのだが、原作でのシチュエーションは全く違う。あのセリフは、飛雄馬の球を傷だらけになって何度も倒された挙げ句にやっとキャッチできた伴宙太を見て飛雄馬が心の中で呟いた言葉である。口に出していないのだ。青雲高校の正規のキャッチャーが飛雄馬の球を捕れず、部外者の伴宙太が捕れたときに飛雄馬はこのセリフを呟く。つまり、自分がチームの中で投手としてやっていけないことを悟った飛雄馬がむなしく漏らした言葉が「オレはいま猛烈に感動している」であり、「、、、それはあの伴宙太という男のせいだ。しかし、猛烈に悲しい、」と続くのである。この空しく絞り出されたセリフがパロディになってるのを見るのは、オッチャンはクヤシイのだ。

 「巨人の星」バカですまん。でも、もし機会があったら「巨人の星」全巻を読んでみてくれ。梶原一騎さんのメッセージは、よく知られたパロディの中にはない。

posted by Yas at 21:57| Comment(0) | 科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする