2006年10月07日

幕末太陽傳

 秋の番組再編期とかで、ここのところのテレビ番組が全然面白くない。いろいろ事情はあるのだろうが、どうしてどこのテレビ局もアホみたいに同じようにバラエティー番組ばかり並べるのだろう?(テレビ東京系列は割合頑張ってるように思うけど)。企画らしい企画のない、タレントのキャラクター任せの番組は視聴者を馬鹿にしている。あの手の番組で、見るに値する話芸を披露できるのは島田紳助さんや明石家さんまさんなど一握りのタレントだけだ。ほんじゃぁ見なきゃいいじゃん、と言われるかも知れない。そう。んで見ないことにして、レンタルDVDを借りた。「幕末太陽傳」。品川の遊郭のハナシ。1957年の日活映画である。

 監督は川島雄三。ご存知だろうか?「人間根もなくヘタもない、道にさまようちりあくた」と陶淵明の歌の有名な意訳をした人だ。川島雄三という監督には熱烈なファンが今もたくさんいる。この映画は川島監督による日本史上最高傑作喜劇とされている。これが本当に面白かった。50年前の映画のこと、出だしは少しまだるっこしく音声もさすがにくたびれているが、最後まで飽きずに見ることができた。詳しくは書かないので興味のある人は「川島雄三」か「幕末太陽傳」でググってチョ。助監督のひとりに今村昌平氏がいる。出演はフランキー堺、石原裕次郎、小林旭、二谷英明、左幸子、南田洋子、金子信雄、山岡久乃、菅井きん、芦川いづみ、岡田真澄、とそうそうたるメンバー。当たり前だがみんな若い。(若い頃の岡田真澄さんは月田研の古瀬幹夫さんにそっくりである。また、驚くべきは、菅井きんさんが50年前のこの作品ですでに遣り手婆の役をやっていたこと)。

 この映画には有名な幻のラストシーンがある。ラストではフランキー堺の「居残り佐平次」が品川宿を逃げ出すのだが、川島監督はここで佐平次が逃げて逃げて映画セットも抜け出して現代(といっても1957年だが)の品川を走り去っていくというもの、、。今ならOKなアイデアだが、当時は映画の舞台裏をばらすなんてのは御法度だったそうで、周囲の猛反発にあって撤回された。川島監督が掲げたこの映画のテーマは「積極的な逃避」だった。川島監督は進行性筋萎縮症で日々身体が弱っていくなかこれを撮影し、前述のように日本史上最高傑作喜劇と評価されたがその7年後に45歳で夭折した。川島監督は会社から依頼された駄作企画も引き受けて結構いい加減な仕事をしている。その結果、駄作も多い名監督と言われている。

 秋の番組再編。バラエティー番組を嫌々制作しているものの、本当は志の高いテレビ屋さんも居ますように。
posted by Yas at 23:01| Comment(0) | 非科学的日常 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする